PRODUCT製品情報 ~船ができるまで~

■ 引き合い

船主が新しく船を建造する場合、造船所に対して見積りを依頼します。これを引き合いと呼んでいます。引き合い時には船主殿より以下のような条件が提示されます。

  • 船の種類
  • 載貨重量などの積載能力
  • 船速
  • 航続距離
  • 港湾の制限事項やパナマ運河などの通航

■ 基本計画と見積り

船主殿から提示された条件をもとに設計者により船の主要目を検討します。これが基本計画です。基本計画では次のような要目や仕様を決定します。

  • 船の長さ、幅、深さ、喫水
  • 船のスピード性能
  • 概略配置図
  • 軽荷重量
  • 主機関馬力
  • タンク配置と容積
  • トリム、復原性能
  • 居住区配置
  • 主要機器の要目

これらから仕様書を作成し、それに基づいて船価の見積りを行います。

■ 契約

契約ネゴで仕様と船価が合意されたらいよいよ契約です。
契約は上記の仕様書や図面を付帯書類とする、造船契約書を取り交わします。
造船契約書には、船価、納期、支払い条件、保証事項などの合意内容や建造中の手続きなどが記載されています。

■ 設計(基本設計・詳細設計)

基本設計とは、契約仕様書にもとづいて船を建造するための基本的な図面等を作成することです。具体的には次のような作業が行われます。

  • 精算見積作業
    建造コストの詳細見積りで、工事予算の元になるものです。購入品や建造工数などパート毎に積み上げによる詳細な見積り作業を行います。
  • 重量、重心の推定
    精算見積りと同時に重量、重心を計算、また船の各積み付け状態の復原性能を確認します。
  • 水槽試験と線図の確定
    上記で推定した軽荷重量に基づき船の外板形状を表す線図を作成します。また、船体の模型を作って水槽試験を行ない、要求される性能が達成できることを確認します。
  • 各種計算書の作成
    トリム計算書、復原性計算書、縦強度計算書、横強度計算書、電力計算書
  • 各種図面
    一般配置図、中央横断面図、機関室配置図、居住区配置図、配管・配線系統図、など。
    続いて基本設計に基づき、各部の詳細設計を行います。これを一般にヤード設計(工場で行われる設計)と呼んでおり、以下のような図面を作成します。
  • 機器類の詳細配置と据付要領
  • 配管、配線配置図
  • 船体構造各部詳細図
  • 居住区造作図
    これらが実際に建造するための製作図となります。

設計部ではこうした図面作成のほかに、資機材の注文書作成、機器メーカーとの折衝や図面の承認作業などを工程に従って処理していきます。

■ 加工開始

入荷した鋼材を切断し、曲げる工程です。

■ ブロック組立開始

ブロック組立は主に次の3段階で行われます。

  • 部品組立
    切断加工された材料を溶接組立して構造部品を製作します。
  • 大組立
    部品を組み合わせて各棟の能力に応じた大きさのブロックを製作します。製作できる最大重量は棟のクレーン能力で決定されます。(注:大組立工程の前に中組立という工程を区別する場合もあります)
  • 総組立
    各棟で製作されたブロックどうしを合体しさらに大きなブロックに仕上げます。総組最大重量は船台の搭載クレーン能力で決定されます。

■ 船台搭載開始

ブロックを船台に順次搭載し、組み立てていきます。
一般に船の後部(船尾部)ブロック(機関室部分)を先に搭載し、順次船首部へつなげていきます。

ブロックを搭載したら前後、上下、左右方向の位置を計測し、ブロック位置、姿勢を固めます。その後、仮付けと呼ばれる部分的な溶接が行われます。

これで溶接継ぎ手部の合わせを行います。仮付けが済んだら本付け溶接を行なっていきます。

■ 進水

造船所における最も華やかなイベントが進水式です。
船主を始め、多くの関係者が参列して盛大に式典が行なわれます。地域関係者や小中学生など一般客も多数見学に訪れます。

通常は船が勝手に滑り出さないよう、固定装置がしっかりと取り付けられていますが、進水式が近づくと、その固定台も取り外され、船と船台をつなぐフックのような役目をするトリガーのみで船を支えます。そして、支綱切断(新たに建造された船舶を造船所に最後まで繋げている「支綱」を切断する儀式)によって、トリガーがいっせいに取り外されると、船が滑り出すという仕組みになっています。

船台で建造された船が海上へ進んでいく様子は大変な重量感があり、厳粛かつ壮大なもので、山が動いて新たな命が息吹く感動を覚えます。船が初めて海上に浮かぶこの瞬間は船の誕生として祝い、命名もこのときに行なわれるのが一般的です。建造に携わった多くの関係者が何度経験しても感激する瞬間でもあります。

■ 艤装工事(進水後)

進水が終わると、船は岸壁につながれ、岸壁にて艤装工事が行なわれます。

船内の装置の組み込みや船室作業をします。

配管工事、配線、結線工事などの他、居住区の内装工事、塗装仕上げ工事、機器の調整、試験などを行なって船の艤装を完成させます。

 

■ 海上試運転

艤装が終わると船の性能を確認するために海上試運転を行ないます。スピードの計測、主機関の性能、操舵機能、など船主、船級協会立会いのもとで各種試験が実施されます。 船を実際に走らせるため、ほとんどの機器を運転し、その状態を確認することができます。引渡し前の総合確認試験として、造船所各担当者、船主、船級協会、機器メーカーの技術員など多くの関係者が乗船します 。

完工・引渡し

海上試運転が終わったら最後の仕上げを行ないます。
また海上試運転の前後から本船の乗組員も常駐し、機器の配置や操作要領などを理解するために勉強しています。

乗組員の経験に基づく要望事項などが出されることもあり、造船所はできるだけそうした要望にも応えて、最後の追い込みで船を完成させます。

船主さんから「良い船ができたね、ありがとう」という言葉をいただくことが建造に関わった従業員の何よりの喜びです。

いよいよ出航です。船の無事な航海を祈って見送ります。